【パンと本 第10回】 「こんがり、パン」鹿島 茂 著/獅子 文六 著/澁澤 龍彦 著/津村 記久子 著/宮下 奈都 著/米原 万里 著

みなさま、こんにちは。今回で「パンと本」は10回目を迎えることができ、とてもうれしく思っています。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。

 

さて、突然ですが、子どもの頃に大好きだった食べ物は何ですか?ちょっと思い出してみてください。

 

・・・いかがでしょうか?

 

その頃の記憶も、一緒によみがえってきませんか?「小学校から走って帰って来ると、いつも食卓にあんパンが2つ置いてあった」とか、「平日の朝はいつも和食なのに、日曜の朝食だけはいつもフレンチトーストだった」とか。好きだからこそ、いろいろな思い出が紐づいて、記憶に残るのかもしれませんね。

 

「パンと本」第10回は、そんなパンとの思い出や、パンへの愛が詰まった「こんがり、パン」をご紹介します。

 

新旧さまざまな作家さんのエッセイを集めたアンソロジーなのですが、その数なんと41名!江國香織さんや阿川佐和子さん、大橋歩さん、中原淳一さん、宮下奈都さん、平松洋子さん、角田光代さん、群ようこさん、佐野洋子さん、開高健さんなど、それぞれの作家さんが独特の切り口や口調で、思い入れのあるパンを語っています。

 

まずは目次で目を奪われることでしょう。「結果的ハチミツパン」「山手線とクリームパン」「ロバの蒸しパン」「逃避パン」「パンを踏んで地獄に堕ちた娘」・・・気になるタイトルがずらりと並んでいます。41編のエッセイすべてに触れると、ものすごいことになってしまうので、その中のいくつかをご紹介します。

 

冒頭を飾る、津村記久子さんの「パン・アンド・ミー」。「ごちそうといえば炭水化物だ。」という断言から始まり、多くのパン好きが直面しているかもしれない問題を語ります。それは、カロリー。パンだけでも「他のものと比べて軽いわりに、カロリーが高い」わけですが、「つけるもの、のせるもの、中に入っているものが侮れない」のです。「『パンにバターをつけて食べるだけで幸せー』などとわたしはよく言うが、『だけで』というほどバターは控え目な脂肪ではない。すごく一人前な脂肪だ。」

頭では分かっているのに、「常に食べ過ぎてしまう」その気持ち、分かります、分かります!!
(ビックリマークを打ち込みながら、大いにうなずいています)

 

 

穂村弘さんの「結果的ハチミツパン」は、「夜中にお腹が空いて目が覚める」ときのお話です。冷蔵庫で食パンとハチミツを発見しますが、食器棚をあさってもスプーンが見つかりません。「明るくすると完全に目が覚めてしまうので電気はつけない」という(妙な)こだわりがあるからです。

「手に触れたものを順々にひっぱりだす」と、「フォーク、ナイフ、フォーク、フォーク、栓抜き、ナイフ」。
あきらめて果物ナイフとハチミツを持ち、食パンをくわえてベッドに戻りますが・・・。

ここから先は読んでみてくださいね。

 

 

川上弘美さんの「しょうがパンのこと」で語られるのは、大げさに言うと、未知なるものへの挑戦と挫折でしょうか。おそらくは昭和40年代。日常生活はまだ純和風で、西欧的なものはありませんでした。そんな頃に、少女時代の川上さんは外国の児童文学書で「しょうがパン」なる不思議な言葉を見つけます。「生姜は、わかる。パンも、わかる。わからないのは、その組み合わせ」。ついに少女は行動に出ます。

「作ってみることにした。作り方は以下のごとし。
1 生姜を用意します。
2 生の生姜は辛いので、去年梅干しと一緒に漬けた生姜を、細かく切って使います。」
(詳しくは本をご覧ください)

さて、食べてみたら・・・。

 

 

いずれのエッセイも、パンそのものであったり、食べるときのシチュエーションであったり、当時の風潮や時代背景であったり、すべてをひっくるめてパンへの愛にあふれています。パン好きの方なら共感するところが多いと思いますし、読み終わったら必ずパンが食べたくなる一冊になると思います。また人によっては、自分にとってパンとはどういうものか、どんなところが好きなのかを考える、良いきっかけを与えてくれる本になると思います。

 

河出書房新社「こんがり、パン(おいしい文藝)」

鹿島 茂 著/獅子 文六 著/澁澤 龍彦 著/津村 記久子 著/宮下 奈都 著/米原 万里 著

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309024660/

 

 

text:セイヤ/ライター

2019年の目標は、娘から「絵本を読んで」と言われること。好きなパンはバターたっぷりのトースト。

 

 

タグ:
  • 15
  • 2621
PSCに会員登録して、記事を投稿したり、いいねすることでポイントがもらえます!
詳しくはこちらから。
既に会員の方はコチラからログインしていいねやコメントして下さい。
  1. ねこまるさん

    読んでみたいです!

    0
  2. loving rabbitさん

    読んだことあります!

    1
  3. 3022047
    3022047さん

    好きな作家さんも入っているので、買って読んでみたいと思います。他にもシリーズで出ているらしいので、そちらも読みたいと思います。

    0
  4. ひろみさん

    先日図書館で予約して借りてきて読みました!
    ひとつひとつが短くて読みやすく、いろいろな時代のパンにまつわるエピソードが面白かったです。
    店名が出てくると、買って食べてみたくなりますね。

    1
  5. うるちゃん
    うるちゃんさん

    わあ♡この本読んだことあるのですΣ(,,ºΔº,,*)
    図書館で一目惚れして借りました♡
    いろんな作家さんのパンエピソードを読んで、
    その度に出てくるパンが食べたくなります(笑)
    このシリーズ、他にもごはんとかスイーツもあっておもしろいです\(◦´-`◦)/♡

    1
  6. 3002450さん

    目次の一例を見て、「どのような内容だろう」と色々、想像したり、想像できなかったり。
    是非、読んでみたくなるものばかりです。

    1
  7. snow332さん

    パンだらけの本、読んでみたいです。

    1
  8. みみみみみさん

    読んでみたいです。
    でも読んだらもれなくパンが食べたくなりそうですね。
    寝る前はやめておいた方がいいかな。

    1
  9. プリンさん

    読んでみます
    図書館予約しました

    1
  10. 風鈴さん

    中身が気になる本です。

    1
  11. はんなさん

    その先が気になる木…
    本読みたいです

    1
  12. 120083さん

    とても興味深く読んでみたいと思います。

    3
  13. 珈琲豆
    珈琲豆さん

    読んで、特にロバのパンの話に興味を持ちました。
    好きな読み慣れた作家さんから読み進めましたよ~

    2
  14. 水ようかん
    水ようかんさん

    いろんな人のが読めるのですね。

    私も図書館で予約しまーす。
    生姜のパンの結末が気になるので~

    3
  15. コスモスさん

    うわ~、どの方のパンのお話も気になりますが
    鹿島茂氏、澁澤龍彦氏そして米原万里氏のお話が興味あります。
    早速、図書館に予約しました。

    3