【パン屋さんめぐり第9回前編】パン・メゾン@愛媛県八幡浜市

パン好きのみなさま、こんにちは!「Pascoスタッフがいく!全国のおいしいパン屋さんめぐり」は、9回目にして、ついに本州を離れ四国へ。全国的にも人気の「塩パン」を考案された、愛媛県八幡浜市にある「pain maison(パン・メゾン)」でオーナーの  平田巳登志さんにお話を伺ってきました。

 

「塩パン」の誕生秘話はもちろん、「パン・メゾン」の歴史、「パン・メゾン」のパンに関するお話などをご紹介します。今回は「パン・メゾン」を紹介してくれた「Pasco公認アンバサダー」のuuuさんにも同行いただき、賑やかな取材になりました。

※uuuさんの「パン・メゾン」さんの紹介記事はコチラ

 

<今回の記事のポイント>

・「パン・メゾン」を開くまで

・年間100種類以上の新商品のパンを作り出す理由

・小さな港町で誕生した「塩パン」

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1日に2000個売れる驚異のパン!

 

愛媛県にある小さな港町、人口3万人程度の八幡浜市にある「パン・メゾン」。ヨーロッパの田舎町にありそうなメルヘンチックな外観が印象的です。広々とした駐車場までパンのいい香りが漂ってきます。「焼きたての『塩パン』が食べられる!」と、はやる気持ちを抑えながら、扉を開けました。


フランス語で「パン屋」という意味の「パン・メゾン」。店内にはイートインスペースのほかテラス席もあり、購入したパンがすぐに食べられます。

 

店内には、「塩パン」を中心に、子ども達が喜びそうなキャラクターをモチーフにしたパンから惣菜パン、ハード系のパンまでずらり。パンの香りでお腹が鳴りそうです(笑)

 

 

パン・メゾン」ができるまで

 

−−− こんにちは!全国的に大人気となった「塩パン」を考案された平田さんにお話を伺うことができ、大変うれしく思っています。本日はよろしくお願いいたします。まずは「パン・メゾン」というお店ができるまでのお話を聞かせてください。

 

平田さん:もともとは両親が「ハチキョーベーカリー」という卸のパン屋をしていたんです。当時は学校給食などに提供していたこともあり、朝から晩まで両親はがんばって働いていました。そんな両親の背中を見ていた私もパン学校を卒業して、そのまま父親の会社に就職しました。24歳の頃でしょうか。


こちらが塩パンの考案者で「パン・メゾン」オーナーの平田さん。

 

−−− そうなのですね。どうして「ハチキョーベーカリー」から「パン・メゾン」になったのでしょうか?

 

平田さん:私が入社して12年くらいは会社も順調だったのですが、愛媛にも大手のパンメーカーが参入し、「ハチキョーベーカリー」のパンが売れなくなってきてしまったのです。そしてある時、大手パンメーカーと「ハチキョーベーカリー」という名前を残すという条件で合併することになりました。時代の流れですかね。しかし、合併から3年後に名前を変更することが決まり、「約束が違う!」ということになり、平成9年に「パン・メゾン」として独立しました。

 

−−− そんな歴史があったんですね。独立されたときに、なぜ店名を「ハチキョーベーカリー」にされなかったのですか?

平田さん:店名として「ハチキョーベーカリー」とつけようとも思ったのですが、自分でいうのもなんですが、「ハチキョーベーカリー」は四国でもまあまあの規模の会社だったんです。だから、急に個人のパン屋の屋号にしてしまうのは忍びないと思い、お店が軌道に乗り始めた4年後に会社の名前としてその名前をつけました。

 

−−− 独立するまでもそのような物語があったのですね。

 

平田さん:余談ですが、入り口の看板「パン・メゾン」の横にある「ハチキョーベーカリー」の看板は、「ハチキョーベーカリー」の工場に掛けていたものです。この店舗はきれいにして2018年12月で3年目を迎えるのですが、前の店の時は休憩室に置いていました。落ち込んだ時や考え事をする時にこの看板を見て、「よし、がんばるぞ!いつかこの看板を表に掲げるぞ!」と自分を鼓舞していたんです。


「pain maison パン・メゾン」の看板の横に並ぶ「ハチキョーベーカリー」の看板。「ハチキョーベーカリー」の工場がなくなる時に奥さまが工場から抱えて持ってきてくれたそう。

 

 

100種類を超える豊富なラインナップ

 

−−− お店に入った瞬間にパンの種類の多さに驚きました。何種類くらいが店頭に並んでいるのでしょうか?

 

平田さん:今は1日に120〜130種類作っていますね。焼き上がりの時間帯をずらして数十種類ずつ、順番に店頭に出している感じです。

 

−−− すごい種類ですね!その上、新商品を年間100種類以上作っているとお聞きしたのですが、こだわりがあるのでしょうか?

 

平田さん:「ハチキョーベーカリー」が合併した後、私はスーパーに併設されたパン屋を任されていました。その頃、「私はパンが大好きで三食パンでもいい」と話すぐらい、パンが大好きのお客さまと知り合ったんです。実際、毎日パンを買いに来てくれていたんですが、ある日、突然そのお客さまがピタリと来なくなってしまったんです。

 

−−− えっ!一体どうしてたんでしょうか?

 

平田さん:そのお客さまに会う機会があったので理由を聞いてみると、「いくらパンが好きでも、毎日同じパンはいやよ・・・」と。その一言がショックで。

独立した時にその言葉を思い出して、お客さまを飽きさせない、「パン・メゾン」へ行けば必ず新しいパンに出会える!と思って来ていただけるように、年間100種類以上の新商品のパンを作り出すと決めました。

たくさんの種類が並ぶ店内。年間決まって置いてあるパンは50種類くらいで、他のパンは常に入れ替わっているそう。

 

 

インスピレーションの源は?

 

−−− 年間100種類以上ということは、3日に1個は新作が発売されるという計算になりますが、その発想の源は何でしょう?

 

平田さん:スーパーに行ったときは、「新しいパンのネタにならないかな?」と思って、キョロキョロいろいろ見ています(笑)。もちろんパンの本も読みますし、パン屋を巡って研究もします。いろんなことをやっていますが、お客さまのリクエストに応えて作ってみると案外良いような気がしています。

 

−−− お客さまの声は大事ですよね。弊社も商品開発にあたってはお客さまの声を大切にしています。ところで、新商品を考案してから店頭に並ぶまでの期間はどのくらいですか?

 

平田さん:作ったらすぐに出します。新しいパンが出来上がったら試食して、スタッフにも試食してもらって、ちょうどその時に常連さんがいたりすると、常連さんにも試食してもらって・・・。おいしいようなら店頭に出すといった感じです。

 

−−− 出してみてダメだった?なんてこともあるのですか?

 

平田さん:ありますよ!朝出して昼に引っ込めるなんてこともありました(笑)。

 

−−− 出すのも引っ込めるのも、すごい早い!潔いですね(笑)。


新商品や季節限定品は、目につきやすいお店のセンターの棚で売られることが多いそうです。

 

おいしいパンはお客さまが決める

 

平田さん:僕はね「おいしいパン」はお客さまが決めることだと思っています。「おいしいパン」は「売れるパン」ですから。オープンした頃はこんな田舎でも本格的なパンが食べられるんだぞ!ってところが見せたくて、本格的なフランスパンやドイツパンを焼いたりしていたんです。でも、結局売れなくて。寝る間を惜しんでパンを焼いているのに「田舎の人は分かってくれない。」そう思っていました。しかし、それは違うなと。結局、お客さまに喜んでもらえるパンを作らないといけないんだと気がつきました。そこに気がつくまでに随分と時間がかかりましたね。

 

−−− お客さまにとって「おいしいパン」は珍しいパンではなく、“親しみのあるパン”なのかもしれませんね。新商品のパンを年間100種類以上の焼いて、そこから定番のパンが生まれる感じなのでしょうか?

 

平田さん:そうですね。新商品から人気パンとなって残っていくといった部分もあると思います。そして、うちのパンは値段もお手頃だと思います。値段もいい、見た目もいい、食べたらおいしかった。と3つが揃えば売れるんです。

 

−−− おいしいだけではなく、見た目と価格、総合的な部分が大事なんですね。


優しい口調で時に力強くお話をしてくれる平田さん。Pascoの商品では「超熟」がお気に入りなんだとか。

 

 

「塩パン」の誕生秘話

 

−−− 今では全国的に人気となった「塩パン」。その誕生秘話を聞かせてください。まずはいつ頃、どんなところから「塩パン」を作ろうという発想が出てきたのでしょう?

 

平田さん:「塩パン」ができたのは今から15年前くらいです。どのパン屋も同じだとは思うのですが、夏は売り上げが下がるんです。オープンしてだんだんと売り上げが上がってきても、やっぱり夏はダメで。そこで夏場になんとか売れるようなパンを考えていました。その頃、パン職人になると決めて、県外のパン屋に修行にいっていた息子と電話で話している時に、塩を振ったフランスパンが流行っていると聞きました。


店の一番目立つところにある「塩パン」。焼き立てを出すとすぐに売れてしまいます。

 

平田さん:フランスパンが全く売れなかった経験もありますし、この小さな町では子どもからお年寄りまでみんなに食べてもらえるパンでないとダメだと思っていました。ただ、フランスパンの味は塩気なので夏にはいいかな。と。

 

 

塩パンの中身は空洞?!

 

−−− フランスパンは材料がシンプルな分、塩が味の決め手になりますものね。

 

平田さん:お年寄りでも食べられる柔らかいフランスパンを考えている時に、バターを生地に入れたらどうかなと思ったんです。そして、5g入れてちょっと違うな〜と。8g、そして倍の10gを入れた時に空洞ができたんです。

 

−−− バターが溶けて空洞になっていたんですね。

 

平田さん:そうです。バターが溶け出して、中は柔らかく、もちっとしていて、外はパリッとしていて、これまでに食べたことのないパンだと思いました。


バター(10g)が溶けて、生地に吸収されることで中心が空洞に。

 

 

「塩パン」のネーミングの理由

 

−−− ところで、「塩パン」というネーミングはどこからきたのでしょう?

 

平田さん:独立する前に旅行で行った京都のドイツパン専門店に、日本語で「塩パン」と書かれていたパンがあったんです。その時から「塩パン」っていい名前だなって思っていたので、そこから付けました。

 

−−− 塩にこだわっているから「塩パン」なのかと思っていました。

 

平田さん:実は逆で、「塩パン」という名前にするからには塩にこだわらなければならない!さて、どんな塩にしようかとなりました。そして、ここからが大変でした。

 

 

理想の塩にめぐり会う

 

−−− どう大変だったのですか?

 

平田さん:普通の塩だと焼くと溶けてしまうんですよ。自分としては飾りとして塩をのせたかったのです。そして国内外の塩を探しました。今の塩は、パンを焼いた時に溶けなくて、そして甘みのある塩です。探すのに随分と時間がかかりましたね。

 

−−− すごく探されたんですね。その塩とはどのように出会ったのでしょうか?

 

平田さん:そこは企業秘密で(笑)。詳しくは言えませんが、知り合いのシェフから紹介してもらいました。岩塩をハンマーで叩いてちょうどいい大きさにしてからパンにのせて、焼き上がりを食べた時に「完成した!」と思いましたね。

 

 

商品として作り始めて気がついた、うれしい偶然

 

平田さん:お店に出すと決めてから「塩パン」の生地を1枚の鉄板に10個並べて焼いたんです。すると、バターがたっぷり溶けて、「塩パン」の底がカリカリに揚がった状態になっていたんです。試作時は1枚の鉄板に4〜5個並べて焼いていたので気づかなかったんですよね。


試作の段階では4~5個で焼いていたそう。ちょうど、写真のような感じだったそうです。

 

−−− 中はフワッと、外はパリッと、底はカリッと3種類の食感が楽しめるんですね。

 

平田さん:これは、うれしい偶然でしたね!


底がカリカリに揚げられた状態の「塩パン」。

 

−−− 発売後はすぐに、大人気商品になったのでしょうか?

 

平田さん:それがすぐには売れなかったんです。ヒットするまでに4年かかりました。まずは食べてもらおう!と、売れなくてもどんどん作って、出来たてを試食してもらいましたね。

 

 

塩パンには自信があった

 

−−− 先ほど、売れなければすぐに引っ込めると話をされていましたが、「塩パン」に関しては4年も粘ってらっしゃるんですね。その理由は?

 

平田さん:自分的には確信があったんです。こんなパンは食べたことがない、これは絶対に売れる!という。意地でも売ってやるぞ!という意気込みもありましたし、うちの看板商品になるという自信もありました。いつかはわかってもらえるはずだと思って・・・辛抱した甲斐がありました(笑)。


思わず笑顔になってしまうようなおいしさ。焼きたての「塩パン」は格別です。

 

−−− 一体どこから人気に火がついたのでしょうか?

 

平田さん:ここ八幡浜市は港町で、近くに市場があるんです。そこで働く人たちが朝食を買いに来てくれるので「塩パン」を試食してもらいました。まずは市場で人気が出て、次に部活帰りに店に寄る高校生、その保護者へ。そこからどんどん広まって、ラジオや雑誌に取り上げられました。その頃、1日に500〜600個売れていたのですが、その後のテレビ放送から一気に1000個売れるようになっていきました。

 

−−− 今はたくさんのお店で「塩パン」が作られるようになっています。そのことについてはどうお考えでしょう?

 

平田さん:たくさんのお店が「塩パン」を作ってくれると、「塩パン」の認知度が広がって、ありがたいと思います。私はうちの「塩パン」が一番おいしい!と思っているので、テレビなどで作り方を公開しても心配ないんです。その理由は「塩パン」専用の「粉」と先ほど話した「塩」が要ですね。

 

 

 

惜しげも無く「塩パン」についてお話ししてくださった平田さん。まだまだ、お聞きたいところではあるのですが。今回はここまで。

 

後編は「塩パン」が生まれる現場、「パン・メゾン」の工房に潜入します!!/
>>後編を読む方はコチラから

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パン・メゾン

https://www.painmaison.jp/
住所:愛媛県八幡浜市北浜1-8-15
(Google Mapはコチラ
Tel:0894-27-0348
営業時間:6:30〜19:00
定休日:火曜日
お店に駐車場有り(約21台)

(2018年12月13日現在)

 

 

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  1. まいまいさん

    超熟おすそわけキャンペーン当選しました。
    ありがとうございます。
    早速、お友達と家族にもおすそわけしました。
    このフレンチトーストおいしー。
    明日は職場で持ちよりランチします。

    0
  2. ようこ
    ようこさん

    塩パンがここから始まったなんて知りませんでした!
    塩パン食べたい!

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  3. カネゴンさん

    今では色々なお店で塩パンを見かけますが、ここが元祖なんですね!
    愛媛は遠いけど、お店に買いに行きたいです!

    0
  4. でいじ
    でいじさん

    結構前に塩パンブームになったころ、愛媛県道後温泉に行った帰りに立ち寄りたかったのですが、
    当時はお店が1店舗のみで、場所も道後温泉地から行くと帰宅経路と全く真逆だった為、
    行けなかったことを今でも後悔してます。

    現在は店舗も広がり、塩パン代表のお店パン・メゾン。

    塩パン以外にも種類が豊富で美味しいと口コミ評価も高い。

    また今回の記事でオーナーの平田さんのお話を聞け、更にパン・メゾンに興味を持ちました。

    パンへの愛情やお客様を大切にする素敵な平田さん。

    これからも頑張っていただきたいと思います。

    0
  5. パン大好きさん

    こんな素敵なパン屋さん近くにあったらいいなぁ(o^^o)美味しそうなパンに囲まれたら幸せな気持ちになります♡塩パン見てたらよだれが出そう、、

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  6. itimiさん

    100種類以上のパンを作るのって並大抵の努力ではできなかったことしょう。すごいですね。
    これまでにお店の状況もかなり変化があった様子ですし頑張ったかいがありましたね。
    食べてみたいです。

    1
  7. snow332さん

    塩パン食べてみたいです。

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  8. もっちり。さん

    100種類のパン!
    色々と食べてみたくなりますね
    目移りしそうです👀
    記事を読んだら塩パンが食べたくなりました🎵 

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  9. 3002450さん

    1年に100種類以上のパンが新たに誕生すると聞くだけで、わくわくします。
    是非、訪れてみたいです。

    1
  10. だあきんさん

    こういう職人さんのインタビュー、大好きです!
    特に塩パンの事は初めて知ったので、目から鱗でした!

    1
  11. うるちゃん
    うるちゃんさん

    パンメゾンさん有名ですよね♡
    ままが塩パン大好きなので、一緒に食べに行けたらいいな( * ´_` * )♪

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  12. 3002693さん

    素敵なパン屋さんで行ってみたい。
    旅の途中に寄りたくなる感じです。

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  13. 風鈴さん

    年間の新商品の数が桁違いで驚きました。
    飽きないどころか、毎日食べても追いつけなさそうです。
    気になったパンは、その場でゲットしないといけませんね。

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  14. はんなさん

    塩パンの発祥が四国とはしりませんでした~
    食べに行きたい!

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  15. ひろみさん

    読んでいるだけでパンへのあつい情熱が伝わってきますね。
    塩パンすごく食べてみたいです。

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  16. まりりんさん

    塩パン美味しそうですね♪食べてみたいです。

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  17. プリンさん

    有名な塩パンのお店ですね
    是非本物食べてみたいです

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  18. おにゃんさん

    努力の甲斐あって看板商品になった時はさぞかし嬉しかったでしょうね。探究、ひらめき、これからも頑張って下さい

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  19. ごっちさん

    今や全国どこのパン屋さんでもお馴染みの塩パン。愛媛で生まれたんですね~
    そのまま食べても美味しいし、食事パンとしても合いますよね!シンプルな美味しさが大好きです!
    急に食べたくなってきました(^_-)-☆

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  20. みーさん

    実家が愛媛なので帰省したらパンメゾンに行きたいです。

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  21. コスモスさん

    テレビで何度も紹介されてますね。
    愛媛は行った事が無いので、
    旅行で行って食べてみたいです!

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